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ネタに反響があれば続きを考える、がスタンス。続きが読みたい! と思ったらコメントか拍手ください。 でも八割がた自己満足です(言った)



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サイトに出そうかどうか迷っていたイザニコ。なにぶん死ネタなもので……
ニコルが死んでしまう方はサイトに出ていますが、こちらはイザークが。なんだかサイトに死ネタを増やすのに抵抗があったんですな……何せうちのモットーは「ニコルが幸せならそれで」だもの。
なので、こちらに載せてみることにしました。サイトに載せてもいいんじゃないの? と思ったら是非コメントください。移動します。
上にも書いていますがネタがネタですので、一応注意書きもしておきますね。

※この話は死ネタとなっております。ハッピーエンドではありませんので、苦手な方はご遠慮ください。

よろしければ、右下の[I Loved You.]からどうぞ。







I Loved You. [SEED / Yzak×Nicol]





怯えに近い色を滲ませた瞳が、揺れもせずにおれを見ている。目を逸らせない、といった表現が正しいのだろうか。
ただおれの服から滴ってくる赤い血を、同じように赤い制服の胸元に受けながら、彼はじっとおれを見上げていた。数秒黙った後、彼は小さく声を発した。

「……え…?」

未だよく状況が理解できていないらしい彼におれは笑って、彼の顔の横についていた両手から力を抜いた。これ以上、身体を支えていることが出来なかった。当然のように彼の胸元に崩れ落ちた自分よりも重いはずのおれの身体を受け止めて、彼はなおも声を漏らす。

「…え…あ、の」

おれの肩に手を置いて、しかしその瞳はおれを見ていなかった。おれの背後に立つ、敵兵を凝視して固まっているのだと判る。
やがて彼の繊細な腕と指が連結した実に鮮やかな動きを見せて、背後で銃を構えているはずの敵兵の身体を撃ち抜いた音が聴こえた。銃弾が飛び出す衝撃音、くぐもった短い悲鳴と、肉が床に打ち付けられる音のあとは、何も聞こえてこない。どうやらこのフロアにいた敵は殲滅したらしいと思い当たり、おれは唇を歪めた。
彼は役目を終えた黒光りする拳銃を床において、彼の肩に顔をうずめたままのおれを抱き起こした。かなりの痛みが走ったが、それもじきに消えていくことを知っている。
彼はおれを自らの膝の上に抱くように仰向けにして、不思議そうにおれの頬に手を添えた。
おれが笑って見せると、とたんに彼の顔から血の気がひく。震えて上手く動かないのだろう舌が動いているのが見えた。

「イザーク……!」

彼は一度おれの名前を呟くと、下唇を噛んで泣きそうな顔をする。驚愕したように見開かれた目から、耐え切れなかったのか、瞬きのたびに涙が零れた。
ああ、彼は怯えても、血に濡れても、変わらず白いままなのだ。雫が触れたところから、硝煙の匂いも死臭も、全てが剥がれ落ちていくような気がする。熱い雫が心地いい。

「もう少し…もう少し、頑張ってください。ディアッカもアスランも、終わったらこちらに来てくれるはずです。だから、だから」

おれの背中から流れた血液が、彼の膝を濡らしているのだろう。白いブーツは、もうきっと赤く染まっている。
そんなことはおかまい無しに、彼はどうにかしておれの意識を繋ごうと考えているようだった。おれの手を、祈るように彼の胸の前で握り締める。
熱の逃げていく身体が、彼の熱を吸い取っていく。
ああ、じきに彼の熱を全て、奪い取ってしまうのではなかろうか?
よく見れば彼の手も、おれの手も、誰のものかわからない血に濡れて赤かった。二人とも肌が白いせいか、それは強烈なコントラストを描いていて目に痛い。

「どうして……かばったりしたんですか…!」

搾り出すように彼が言う。理由など判っているのだろうに、それでも訊かずにはいられないのだろう。
ああ、よかった。彼には傷一つついていない。それだけで、救われたような気分だった。

「どうして、って…訊くな……そういうこと、は」
「ああ、もう、喋らなくていいですから……!」
「――――守りたくて」

喉の奥からせりあがってくる血の味を無視して、おれは言った。彼の瞳が驚いたように見開かれて、おれの手を握る彼の力が強くなる。そのまま彼はおれの手を決して離すまいと、腕の中に抱き込んだ。
とくとくと、彼の鼓動は速い。焦りと不安と恐怖で、彼の心臓は全力疾走を続けている。
まるで、脆くて弱い小動物。

「しょうがない、だろ……」
「そ」
「…動いたんだ。身体が、勝手に」
「……っ」


彼に狙いを付けた銃口に背を向けるようにして、彼の前に身体を割り込ませた。座り込んでしまっていた彼の顔の横についた手は銃弾を受けるたびにびりびりと震えたが、決してそれを折ることはしてはならないと思った。
彼を守りたくて、守りたくて。
生きていて欲しくて。
身体を覆う倦怠感に逆らうというのは、存外に難しいことだった。閉じそうになるまぶたを抉じ開けているのもつらく、ぼやける彼の顔は遠くにしか見えない。
それでも、その遠くにある彼の顔が、涙に濡れていることは判った。
泣くな、と言う。
泣かなくていい。おれが勝手にしたことだから、気に病まなくてもいいんだと。
おれは彼がつかんだおれの手を、無理矢理彼の頬に持っていった。撫でた頬は暖かく、また熱を奪いそうになる。おれの手を重ねて握り込む彼の掌は、信じられないほどに柔らかく、また切ないくらいに熱かった。
こんな所で、死ぬはずじゃなかった。
もっとずっと生きて生きて生きて、長い生を全うするはずだった。
造られた命でも、心臓が走っている限り、光へ向けて歩かねばならなかった。
彼と共に。
悔しいというよりは哀しく、哀しいというほどには実感がなかった。
ただ掌に感じる熱だけが、いやに現実的で。

「おいて、いかないで……」

彼が言って、おれの髪を撫でた。切実なその願いに、おれは初めて泣きそうになる。
そうできたら、どんなにいいだろうか。共に歩めたら、どんなにか。
死ぬことが怖いのではなく、彼を置いていくことが悔しい。連れて行きたいとも思わないが、独りにしてしまうことは、嫌だった。
だって、誓った。いもしない神に、故郷で待つ母に、救いのない世界に、澄んだ空に、輝く星に、愛しい彼に。
永遠の誓いだと、約束だと。
柄にもなく小指を絡めて、笑って。
彼と。

「…ニコル」
「いかないで、ください……! まだ、僕は貴方に何も返せていない。何も、してあげられてない、のに…っ」
「大丈夫、だから」
「お願い…」
「大丈夫」
「お願い。お願いですから」
「大丈夫、だろ…? おまえ、ひとりでも…歩いて、行けるだろう……?」
「一緒にいて。離れていかないで。独りにしないで。ここにいて。一生分の我侭を、きいて…!」
「ああ…泣くなよ」
「大丈夫なんかじゃ、ないです。貴方がいないのに、守るものなんて……」
「…笑え、……おまえといれない、一生分、この目に、焼き付ける…から」
「どうして…貴方は、いつも勝手ばかりだ。僕を置いて、ひとりで先に行ってしまう…っ」
「――――笑え」

おれが頼むと、彼は泣きながら笑った。笑顔にもならない笑顔で、おれの指に自分のそれを絡ませる。
言葉を発している間に、どんどん指の、足の感覚がなくなっていくのがわかった。もう時間がないのだ。彼もきっと、それを判っている。
ぎこちなく動かしたおれの指に、きちんと力はこもっているのだろうか。そうじゃないと、彼の手を握り返すことさえ出来ない。自分の感覚さえもどこか他人事で、おれは彼が小さく微笑むのを見ていた。
さっきよりは上手く、彼は笑う。

「……駄目、なんですか?」
「……」
「我侭は、きいてもらえませんか?」
「…ん」
「――――そう、ですか。なら」

今はせめて、このままで。
彼はそう呟いて、耐えかねたように瞳を伏せた。奥歯を噛み締めて、泣き声を押し殺している。
愛しくて、その愛しさが溢れてしまいそうだった。
彼は光に向かって、歩むべきだ。
おれに出来るのは、彼が闇に呑まれてしまわないようにと祈るだけ。

「…また、いつか」

おれがそう言うと、彼ははっと顔を上げて、呆れたように笑った。しょうがないなぁと、自分の身体を前に折るようにしておれの身体を抱きしめる。
暖かかった。

「いつか。――――さようなら」





彼の背中から溢れていた生温い血液が、広がることをやめた。ニコルの膝は滴るほどに重くなっており、その水分に熱を奪われて、随分と冷たくなっている。
身体の底から冷えたような感覚に、ニコルは背筋を震わせた。膝に感じる重みをどけることが出来ず、少しだけ血に汚れた銀色の光をさらさらと撫でる。事切れてもなお美しいその顔立ちも、蒼白で人形のようだった。
笑えと、貴方は言ったけれど。
無理だと、ニコルは涙を零した。今ここで、笑えるはずなどない。
灰色の壁と床と天井と、いたるところに自分たちがある意味で『築いた』殺し合いの跡が残っている。飛び散った血液や弾痕や、転がるもの言わぬ骸たち。その中に座り込んで泣くのは、どれほど滑稽で身勝手だろう。
ただ、同じものとは思えなかった。
傲慢だと言われても、今目の前で生命としての活動をやめた彼と、この名前も知らぬ人間たちが同じものとは、どうしても。
ただ、苦しかっただろうに、怖かっただろうに、それどころか言葉を紡ぐことすらつらかっただろう彼は、どうしてこんなにも美しく死ねるのだろうと思う。どうして心を汚さぬまま、逝けるのかと。

――――守りたくて

彼はそう言ったが、それは自分だって同じだったのに。
ああ、最期まで、貴方は身勝手。
ニコルが両手で顔を覆った時、ロックが壊された扉のほうから、靴が石を噛む音が聴こえた。じゃり、と静寂に支配されていた室内では、それが殊更よく響く。
そこに立っていたのは、紺碧の髪を持つ人。
アスランはニコルと彼の様子をみると同時、これ以上ないほど大きく息を吸い込んだ。一目で息がないことがわかってしまったのだろう。血など見慣れているはずだ。もう、こんなことで動揺するような神経は持ち合わせていないつもりだった。
ただ、そこにあるのが見知った顔であるというだけで、こんなにも揺れるものだなんて。
アスランは自分を見上げてくるニコルに視線を向けながら、一歩一歩、近づいていく。

「…ニコル」
「……イザークが、言うんです」

ニコルが彼の髪を撫でて、ぽつりと呟く。

「笑え、って。――――無理、ですよねぇ」

無理矢理微笑んだその表情はすぐに崩れて、嗚咽に変わる。身体を折り曲げるようにして泣き声を上げるニコルを、アスランはそっと抱きしめた。
ニコルと自分の身体の間、少し下に、血の気の無い、しかし信じられないほどに穏やかな顔が見える。その表情を見た瞬間、アスランは泣いた。
どうして彼でなければならなかったのか。
どうして、この二人でなければならなかったのか。

神様。

やはり貴方は、いないのか。

「ずっと、ずっと…! 傍にいて、ほしかったのに……っ」

慟哭が耳を打つ。今まで聴いたどんな音よりも、哀しい音だった。
遅れて到着したディアッカは、泣いている二人を見つけて立ちすくんでいた。背を向けたアスランの陰になって顔は見えないが、横たわるあの身体は、彼のものだろうかとディアッカは冷静に考える。
しかしそれもすぐにぼやけて、その場で震える膝を折ることも出来ないまま、ディアッカは涙を流した。
涙が三人分、嗚咽と共に流れ落ちて。
自分のものではない泣き声を遠巻きに感じ、アスランの肩で泣きながら、ニコルは思う。

ねぇ、イザーク。





貴方を、愛していた。





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なんて話だ……鬱過ぎる。イザークに全力で謝りたい(笑)
あと何個か死ネタはストックがありますが、鬱になるのが目に見えている。主に私が。
タイトルは最後の一文まんまです。お、思い浮かばなかったんです……
しかし、これはどうなんだろう……需要あるの……?

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